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・女性向け二次創作サイト・「フルメタル・パニック!」宗介×かなめを取り扱っております・二次創作物、ノーマルカップリングの苦手な方、15才未満の方、荒らしさんはご遠慮下さい
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 もう時効だろう、と何の気なしに事実をありのままに述べたら、妻から帰ってきた反応はまったく予想外のものだった。
「今日はお風呂一緒に入らないから!」
 真っ赤な顔で宣言する彼女に、宗介は戸惑いを隠せなかった。
「急になんなんだ……」
「っていうより、もうソースケなんかと一緒に入らないから!」
「何故だ」
「ひ、人がっ、気ぃ失ってるのを好いことに、人の身体好き勝手にするような卑怯者とは、もうお風呂なんか一緒に入ってあげない!」
「好き勝手なぞしていないぞ?身体が冷たかったので温めただけだ。人肌というものは話に聞いていた以上に効果があったようだ。……む?どうした?」
 カーッと温度計の目盛りが上がるように、妻の白い首筋から頭の天辺まで真っ赤になっていく。
 そのとき、呑気な調子のたどたどしい声が彼等をを呼んだ。
「おかーさーん、おとーさーん、おふろ、はいろー」
 今までお気に入りの絵本を大人しく眺めていたのに、父親譲りの空気を読まなさを遺憾なく発揮している。
 呼んだ内容もジャスト・バッド・タイミング。
 こんなところばっかりソースケに似ちゃって大丈夫なのかしら?
 と、かなめは子どもの将来が少々心配になりつつ、夫に背を向け、まだ赤い顔のまま足下の子どもにかがみ込んで優しく言った。
「そうね。もう入ろっか。でも、今日は、お父さんはお風呂別よ。っていうか、これからは、お父さんだけ別よ」
「なんで~?」
 目をぱちくりさせる子どもに微笑みながらも、かなめは背後の夫に聞こえるように刺々しい声で言った。
「お父さんが、昔、お母さんに変なことしたから」
 背中から盛大なため息が聞こえた。
「……子どもに妙なことを吹き込むのは止せ」
 かなめは立ち上がって振り返ると、腰に両手をあて宗介を睨み付けた。
「妙なこと?あんたがあたしにしたことの方が妙じゃない!?」
「だから温めただけだ…。そんなに怒ることなのか?」
「怒ることよ!そりゃ、お風呂で倒れちゃったのを運んでくれたのは仕方ないわよ?でも…、だからって、普通、裸であっためたりする!?」
「他に方法が分からなかったのだ。それに裸ではない。……下着は脱がなかったぞ?」
 くぁーっと、かなめの顔が更に赤くなる。
「そ、それにっ、き、着替えが分からないからって、自分が着てたもの着せたりだって、…普通しないわよっ!」
「仕方ないではないか。…君を裸のまま寝かせておくことなど出来なかった」
「……そお!全部仕方なかった、て言うのね!?」
「肯定だ」
 深く頷く宗介にかなめはキッとなった。
「それなら、ああやって倒れたのがあたしじゃなくても、あんたはおんなじようにしたのね!?」
 例えばテッサとか。
 と、共通の銀髪の友人を引き合いに出すと、夫は明らかに怯んだ。
「それは…同じにした、とは思うが……」
 だらだらと脂汗を流す宗介を、かなめは冷たい目で一瞥した。
「だが、あんな気持ちにはならなかったと思う」
「あんなって何よ?」
 服の裾をくいっくいっと引っ張って「おふろー」とマイペースに主張する子どもを抱き上げながら問い返す妻の声は果てしなく冷たい。
「その……君に目を覚まして欲しくなかった……」
 宗介は子どもを抱いて背を向ける妻に一歩近づいた。
「ふーん…。卑怯者のあんたらしいわね」
 宗介は、伸ばさなくても、手を上げれば彼女の肩に触れられる位置まで近づいた。
「そう、だな…。君がそうやって怒るのではないかと怖かった。君に嫌われるのが怖かったんだ……。だから、君が温かくなったらすぐ離したんだぞ?……だが」
 宗介は一度言葉を切って、子どもを産んでも変わらぬ華奢な妻の後ろ姿を目を細めて見つめた。
 やわらかくて心地好い素肌に初めて触れたあの時……。
「本当は、もっとずっと君に触れていたかった。――君が許してくれれば」
 そんな気持ちは、昔も今も君にしか持ったことはない。
 と、宗介は彼女に触れないまま、耳元で言った。
「おかーさん、お顔がまたあかいよ?」
 昔から少しも変わらない真摯な夫の声を黙って聞いていたかなめの腕の中で、これまた父親そっくりに要らないことを口に出す子どもが指摘する。
 かなめは腕の中の子どもの額を、ペちっと指先で小突いた。
 思わぬ援護射撃に、もう一息とばかり宗介は妻の肩に手を掛ける。
「あの頃のことで君がそんなに怒るとは思わなかった。あの時は、確かに君に触れる許可は得ていなかったが、今はもう、触れるだけでなく性交渉も当たり前に…ぐがっ!!」
 いきなり顔面に裏拳を叩き込まれた。
「…痛いじゃないか」
「やっかましい!子どもの前で、んな言葉使うなー!!」
「……夫婦なのだから、していて当然だろう?」
「教育の問題よ!キョーイクのっ!」
「おふろー」
 かなめは、空気を読まずに自己主張を続ける子どもを、ずいっと宗介に付き出した。
「なんだ?」
 子どもを受け取りながら、宗介は赤い顔の妻に首を傾げて問うた。
「今日はソースケが入れて」
「……君は一緒に入らんのか?」
「おかーさんは~?」
 異口同音に聞く父子に、かなめは強く言い放った。
「今日はっ、あんたたち二人で入んなさい!」
 反論を許さずクルッと後ろを向くと、
「むう?」
「むー?」
 同じ調子で音程だけ違ううなり声が背中から聞こえる。
 とりつく島もない妻の後ろ姿にため息混じりのあきらめ声が子どもに話しかけた。
「……仕方ない。では、今日は二人で風呂だ」
「いつもいっしょなのに、つまんないんねー」
「明日には機嫌を直してくれるだろう。……たぶん」
 自信なざげに付け加えた父親の腕の中で、子どもは目をくりくりさせている。
「ねえねえ、おとーさん。おかーさん、なんでおこってるのー?」
「お母さんは、昔から気むずかしいのだ。何かと言うとすぐ怒る」
「あんたが鈍いだけでしょーが!あんたが!!」
 妻の怒鳴り声にビクッと身を竦め、子どもを抱いた夫はそそくさと逃げるように浴室に消えた。
「まったくもう!」
 独りごちて、かなめはまだ熱い頬を両手で押さえた。
 知らなかった。―知らなかった。――あの頃、ソースケの気持ちなんて、全然知らなかった。
 あんなふうに不器用で一途で真っ直ぐな想いを向けてくれていたソースケが、あの時、どんなふうに自分に触れたのだろう。
 きっと、それは、ただただ優しい抱擁で――。
 想像したら、胸の奥がきゅっと苦しくなった。
(なんで、今さら、こんな気持ちになんなきゃならないのよー!?)
 あの頃言ってくれなかった罰に、明日も、お風呂別にしてやろうかしら?
 一人でジタバタもがいた悔しさから、かなめは八つ当たり気味にそう考えた。

 かなめが、なんとなく気恥ずかしい気分で一人で風呂に入って上がってみると、宗介が子どもを寝かしつけていた。
「…寝た?」
「ああ。今、眠ったところだ」
「そう…」
 短く応えて、かなめは自分の寝床に潜り込む。
 宗介が同じように隣に潜り込んできたので、寝床の中で彼に背を向けると、ややあって、宗介の腕が後ろからそうっと回されてきた。
 そのままじっとしていると、背中の彼の体温が近づいてきて耳元で低い声に名を呼ばれた。
「なに?」
「そろそろ、もう一人子どもが居ても良いと思うのだが…」
 どうだ?と問う宗介の腕は、力強く包み込むように優しいのに、どこか縋るような面持ちを残している。――それは、初めて彼に触れることを許した時から結婚した今も、ずっと変わらない。
 きっと、意識のない自分を温めようとしたときも、こうだったのだろう。
 かなめは目を閉じて、返事の代わりに胸元に回された宗介の腕を手の平で撫でた。

 数日後――。
「あんたってば、どーしてっ、そう余計なコトを教えるのー!?」
「余計なことではない。俺は事実を有りのまま教えただけだ!」
「何も全部言うことないのよ!全部!」
「む?それはいかんぞ。都合の悪い部分だけを隠して教えるのは、事実を隠蔽するよりも物事を歪めるものだ。事実は事実としてきちんと教えるべきだ」
「子どもの年を考えて言いなさい!どーすんのよ!?あの子ってば、あの子ってば…!
『けっこんするまえに、おとーさんが、ねてるあいだに、はだかのおかーさんを、だっこしてあっためてあげたら、おかーさんはへんなことしたってゆって、おこって、おふろいっしょにはいってくれなかったんだー』
 ……とか、公園でおっきな声で言っちゃったのよ!?」
「……別に特段おかしなことは言っていないと思うのだが」
「言ってるでしょーが!」
 さして気にする素振りのない夫を、妻はげしげし蹴り飛ばした。
「痛い。痛いぞ」
「あたしがっ!どんだけ恥ずかしかったか分かる?え!?分かんないでしょーが!このトーヘンボク!くぬ、くぬ!!」
 かなめは真っ赤な顔で、げしげし夫を蹴り続けた。
 なにしろ、続けて子どもは、こうも言ってしまったのだ。
『おとーさんが、おかーさんとおふろはいれなくて、とってもガッカリしてたから、なぐさめてあげたら、こどもとはいいものだなって、おとーさんがいうから、きょーだいがいたら、もっといいよっておしえてあげたのー。おとーさん、がんばって、きょーだいつくるっていったのー。まいにち、がんばるんだって。はやくきょーだいふえないかな~』

 およそ十ヶ月後、一家の家族が一人増えたという。



コメント:拙文「Wristlet key (立ち入り禁止区画)」のその後、もし宗介が千鳥にしたことがバレたら、という設定で「Inter-Mission」さまの管理人みちさまが書いて下さいました!ありがとうございます!!
     いや前フリ無しで充分以上に素晴らしいです!!それどころか拙文の方が蛇足です。独り占めしてると勿体ないので、お願いしてUPさせていただきました。本当にありがとうございます!!
  なおこれらの作品は「Inter-Mission」さまでも展示を開始されました。素敵宗かな作品がいっぱいです。

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