FC2ブログ
・女性向け二次創作サイト・「フルメタル・パニック!」宗介×かなめを取り扱っております・二次創作物、ノーマルカップリングの苦手な方、15才未満の方、荒らしさんはご遠慮下さい
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

何ということもないある日の昼休み。
昼食を済ませた俺は、自分の席でいつものように武器の点検と整備を粛々と行なっていた。この件に関してはもう今さら誰も突っ込む者もいない。うかつに手を出すことの危険性も、十分認知されているようだ。結構なことだ。

1つ前の席、つまり千鳥かなめの周囲にはいつもの面子が集まり、先ほどから何やら議論をしている。
「やーっぱ、〈どこでもドア〉がダントツ人気かな?」
「いや、〈タイムマシン〉も捨てがたいんじゃない?」
「いやいや、健康な男子だったらやっぱり〈透明マント〉だろう」
「このスケベ!」
などなど、実に賑やかしい。
「相良クンはどう思う?」
突然、風間が話を振ってきた。
「…何の話だ?」
「あー、無理無理。ソースケはたぶんドラ○もんなんか知らないから」
「…ドラ○モン?」
――語感からすると神経ガスか毒物の一種だろうか?…さっぱり思い当たるものがないが…?
首をひねっていると、風間が何かの雑誌を見せてくれた。
「ほら、これだよ」
風間が示すところを見ると、何か胴体よりも頭部のほうが異様に大きい奇妙な動物――風間が言うには〈ネコ型ロボット〉なのだそうだが、とてもネコには見えない――が、腹部に装着した袋を開いてドアのような形状をしたものを取り出している、あるいは収納している図があった。何かこども向けのアニメーションに登場するものらしい。
「これが〈どこでもドア〉と言って、このドアを通ってどこにでも行けるというものなんだ」
何故か得意げに風間が言った。
「…ふむ」
原理は分からないが、まあそこはフィクションなのだろう。ちなみにその〈ネコ型ロボット〉の名がドラ○もんというのであり、腹部に装着した袋は〈四次元ポケット〉というのだそうだ。先ほど級友達があれやこれやと議論していたのは、この〈四次元ポケット〉に入っているという数々の便利な道具の中から、1つだけ選択して所有するとしたら何が良いか、ということだったらしい――と、そこまでの状況が掴め、ついでに人気のあるいくつかの道具の名称や機能についてのレクチャーを受けた後、議論に加わった。『あくまでもフィクションなんだから、余計な理屈はほざいちゃダメよ』という千鳥からの厳命があったのは言うまでもない。

「あたしはやっぱり〈どこでもドア〉が良いな。いつでもただで海外旅行に行けちゃうなんてラッキー!」
これは稲葉瑞樹の弁。移動は無料でも宿泊や食事には金がかかると思うのだが…?

「あたしは〈タイムマシン〉かな?ちょっとだけ時間を遡って、決定的瞬間をパシャッと」
愛用のデジカメを片手に言うのは常盤恭子。いったい何を撮影するつもりなのだろう?何故か意味ありげに俺と千鳥を見ているような気がするが…。

「僕は絶対〈もしもボックス〉。ゲームの世界が現実になれば…なんてすばらしいんだろう」
と、これは風間信二。遠い目をしているのは、おそらくいつぞや自分も参加したことのあるゲームの世界を夢見ているのだろう。…なるほど。

「私は…〈タイムふろしき〉でしょうか。汚れてしまったものや壊れてしまったものが労せず元通りになるなんて、とてもありがたいことですわ」
と、これは美樹原蓮。彼女にも何か人に言えない苦労があるのだろう。

「俺は誰が何と言っても〈透明マント〉だ!」
鼻息も荒く主張するのは小野寺幸太郎。こいつの思考パターンと行動原理はとある同僚を思わせるのだが…

「あんたの考えって見え見えよね。女子更衣室や女湯に忍び込もうとか思ってんでしょ?」
「小野Dヤラシ~っ!」
「うっせー!これが男のロマンってものなんだ!」

…やはりそうか。

「で、カナちゃんは?」
「んー…」

千鳥は少し迷っている様子を見せ、やがてなぜか一瞬俺のほうへと視線を投げてから口を開いた。

「…〈もしもボックス〉が良いな。どこにも戦争とかなくて、大事な人が危ない目に遭うなんてこともなくて、みんなが穏やかに暮らせる世界が実現できたら嬉しいんだけど」

彼女らしい答だ。納得すると同時に胸が痛む。
そんな平和で穏やかな世界では、俺にどんな存在価値があるのだろう?
そこでも俺は君の側にいることが許されるのだろうか?

「あ、やだ、なんかしんみりしちゃったね。ごめんごめん。うは、うははは!…で、ソースケは?どーなのよ?」

全員の視線がこちらに集まった。
「…ふむ。俺は、その〈四次元ポケット〉というのが欲しい」
正直な希望を述べた途端、非難の声が上がる。

「いや、相良クン、それ反則だから」
「何故だ?」
「そういうルールなの!だってずるいでしょー?〈四次元ポケット〉があれば結局中のモノぜーんぶ手に入るんだから。1つだけ、っていうルールから外れるじゃない」
「いや、中身は要らないのだが?」
「「「「へ?」」」」
皆きょとんとしている。
「…それって、空っぽのポケットだけ欲しいってこと?」
うさんくさげに千鳥が尋ねてくる。
「肯定だ。〈四次元ポケット〉そのものがあれば、内容物は一切要らない」
「どゆこと?」
「意味ねーだろ?」
「いや、意味は十分にある。先ほどの風間の説明によれば、その〈四次元ポケット〉というのはかなりの質量のものでも収納できるのだろう?」
「そうだけど…」
「しかも衣服等に装着して常時持ち歩けるのだろう?機能としては申し分ない」
そこまで言ったところで、千鳥がしたり顔で頷いた。
「あー分かった分かった。何でも収納できる便利なポケットに、何とかグレネードだの何とかランチャーだの、その他諸々の物騒な武器をごっそり入れて持ち歩こうってわけね?…あんたらしーわ、ホント」

千鳥の言に皆一様に頷いている。
だが俺はそうした使い方もできるということを、実は千鳥に言われて初めて気付いたものだから――
「…そうだ、な、そういう活用法もあるな…」
思わず漏らした言葉に、再びみんなの視線が集まる。
し、しまった!

「「「「「へ?」」」」」
「…いや。なんでもない。非常に、有効な、活用法だと思う」

慌てて取り繕ったが、皆不審顔だ。…いや、1人だけ、常盤恭子だけが何か感ずるところがあったのか、生暖かい視線を送って寄越しているが…

「相良、ホントは何を入れようと思ってたんだ?」
「あんたが武器以外に何入れて持ち歩こうってのよ?」
「ま、まさかもっと危ないブツを?」
「今それってどこに置いてあるの?」
などと口々に詰め寄ってくる。――拙い状況だ。
「黙秘権を行使させてもらう」
「うるさいっ!あんたにそんなものはないわよ。吐け!吐きなさい!あんたの場合シャレになんないんだから」
俺の胸ぐらを掴む千鳥を、常盤がやんわりと止めてくれた。

「まあまあカナちゃん。相良クンにだってさ、いつも肌身離さず持ち歩きたいほど大切なものがきっとあるんだよ。ねー?」

全身から汗が吹き出る。常盤にはどうも真相を悟られているような気がする。やはり彼女は侮れない…。

その後、やはり何事か察したらしい風間の巧みな誘導もあって、話題は別な方向――〈もしもボックス〉で実現されるゲーム世界の有り様とその改善点――へと移っていった。

……助かった。
あのまま千鳥に詰問され続けていたら、俺は口を割っていたかもしれない。

いつもポケットに入れて持ち歩きたい大切なもの、それは〈千鳥かなめ〉だということを――



 コメント:風見 流沙さまありがとうございます!風見さまのサイト「天空の欠片」さまはこちらです
何ということもないある日の昼休み。
昼食を済ませた俺は、自分の席でいつものように武器の点検と整備を粛々と行なっていた。この件に関してはもう今さら誰も突っ込む者もいない。うかつに手を出すことの危険性も、十分認知されているようだ。結構なことだ。

1つ前の席、つまり千鳥かなめの周囲にはいつもの面子が集まり、先ほどから何やら議論をしている。
「やーっぱ、〈どこでもドア〉がダントツ人気かな?」
「いや、〈タイムマシン〉も捨てがたいんじゃない?」
「いやいや、健康な男子だったらやっぱり〈透明マント〉だろう」
「このスケベ!」
などなど、実に賑やかしい。
「相良クンはどう思う?」
突然、風間が話を振ってきた。
「…何の話だ?」
「あー、無理無理。ソースケはたぶんドラ○もんなんか知らないから」
「…ドラ○モン?」
――語感からすると神経ガスか毒物の一種だろうか?…さっぱり思い当たるものがないが…?
首をひねっていると、風間が何かの雑誌を見せてくれた。
「ほら、これだよ」
風間が示すところを見ると、何か胴体よりも頭部のほうが異様に大きい奇妙な動物――風間が言うには〈ネコ型ロボット〉なのだそうだが、とてもネコには見えない――が、腹部に装着した袋を開いてドアのような形状をしたものを取り出している、あるいは収納している図があった。何かこども向けのアニメーションに登場するものらしい。
「これが〈どこでもドア〉と言って、このドアを通ってどこにでも行けるというものなんだ」
何故か得意げに風間が言った。
「…ふむ」
原理は分からないが、まあそこはフィクションなのだろう。ちなみにその〈ネコ型ロボット〉の名がドラ○もんというのであり、腹部に装着した袋は〈四次元ポケット〉というのだそうだ。先ほど級友達があれやこれやと議論していたのは、この〈四次元ポケット〉に入っているという数々の便利な道具の中から、1つだけ選択して所有するとしたら何が良いか、ということだったらしい――と、そこまでの状況が掴め、ついでに人気のあるいくつかの道具の名称や機能についてのレクチャーを受けた後、議論に加わった。『あくまでもフィクションなんだから、余計な理屈はほざいちゃダメよ』という千鳥からの厳命があったのは言うまでもない。

「あたしはやっぱり〈どこでもドア〉が良いな。いつでもただで海外旅行に行けちゃうなんてラッキー!」
これは稲葉瑞樹の弁。移動は無料でも宿泊や食事には金がかかると思うのだが…?

「あたしは〈タイムマシン〉かな?ちょっとだけ時間を遡って、決定的瞬間をパシャッと」
愛用のデジカメを片手に言うのは常盤恭子。いったい何を撮影するつもりなのだろう?何故か意味ありげに俺と千鳥を見ているような気がするが…。

「僕は絶対〈もしもボックス〉。ゲームの世界が現実になれば…なんてすばらしいんだろう」
と、これは風間信二。遠い目をしているのは、おそらくいつぞや自分も参加したことのあるゲームの世界を夢見ているのだろう。…なるほど。

「私は…〈タイムふろしき〉でしょうか。汚れてしまったものや壊れてしまったものが労せず元通りになるなんて、とてもありがたいことですわ」
と、これは美樹原蓮。彼女にも何か人に言えない苦労があるのだろう。

「俺は誰が何と言っても〈透明マント〉だ!」
鼻息も荒く主張するのは小野寺幸太郎。こいつの思考パターンと行動原理はとある同僚を思わせるのだが…

「あんたの考えって見え見えよね。女子更衣室や女湯に忍び込もうとか思ってんでしょ?」
「小野Dヤラシ~っ!」
「うっせー!これが男のロマンってものなんだ!」

…やはりそうか。

「で、カナちゃんは?」
「んー…」

千鳥は少し迷っている様子を見せ、やがてなぜか一瞬俺のほうへと視線を投げてから口を開いた。

「…〈もしもボックス〉が良いな。どこにも戦争とかなくて、大事な人が危ない目に遭うなんてこともなくて、みんなが穏やかに暮らせる世界が実現できたら嬉しいんだけど」

彼女らしい答だ。納得すると同時に胸が痛む。
そんな平和で穏やかな世界では、俺にどんな存在価値があるのだろう?
そこでも俺は君の側にいることが許されるのだろうか?

「あ、やだ、なんかしんみりしちゃったね。ごめんごめん。うは、うははは!…で、ソースケは?どーなのよ?」

全員の視線がこちらに集まった。
「…ふむ。俺は、その〈四次元ポケット〉というのが欲しい」
正直な希望を述べた途端、非難の声が上がる。

「いや、相良クン、それ反則だから」
「何故だ?」
「そういうルールなの!だってずるいでしょー?〈四次元ポケット〉があれば結局中のモノぜーんぶ手に入るんだから。1つだけ、っていうルールから外れるじゃない」
「いや、中身は要らないのだが?」
「「「「へ?」」」」
皆きょとんとしている。
「…それって、空っぽのポケットだけ欲しいってこと?」
うさんくさげに千鳥が尋ねてくる。
「肯定だ。〈四次元ポケット〉そのものがあれば、内容物は一切要らない」
「どゆこと?」
「意味ねーだろ?」
「いや、意味は十分にある。先ほどの風間の説明によれば、その〈四次元ポケット〉というのはかなりの質量のものでも収納できるのだろう?」
「そうだけど…」
「しかも衣服等に装着して常時持ち歩けるのだろう?機能としては申し分ない」
そこまで言ったところで、千鳥がしたり顔で頷いた。
「あー分かった分かった。何でも収納できる便利なポケットに、何とかグレネードだの何とかランチャーだの、その他諸々の物騒な武器をごっそり入れて持ち歩こうってわけね?…あんたらしーわ、ホント」

千鳥の言に皆一様に頷いている。
だが俺はそうした使い方もできるということを、実は千鳥に言われて初めて気付いたものだから――
「…そうだ、な、そういう活用法もあるな…」
思わず漏らした言葉に、再びみんなの視線が集まる。
し、しまった!

「「「「「へ?」」」」」
「…いや。なんでもない。非常に、有効な、活用法だと思う」

慌てて取り繕ったが、皆不審顔だ。…いや、1人だけ、常盤恭子だけが何か感ずるところがあったのか、生暖かい視線を送って寄越しているが…

「相良、ホントは何を入れようと思ってたんだ?」
「あんたが武器以外に何入れて持ち歩こうってのよ?」
「ま、まさかもっと危ないブツを?」
「今それってどこに置いてあるの?」
などと口々に詰め寄ってくる。――拙い状況だ。
「黙秘権を行使させてもらう」
「うるさいっ!あんたにそんなものはないわよ。吐け!吐きなさい!あんたの場合シャレになんないんだから」
俺の胸ぐらを掴む千鳥を、常盤がやんわりと止めてくれた。

「まあまあカナちゃん。相良クンにだってさ、いつも肌身離さず持ち歩きたいほど大切なものがきっとあるんだよ。ねー?」

全身から汗が吹き出る。常盤にはどうも真相を悟られているような気がする。やはり彼女は侮れない…。

その後、やはり何事か察したらしい風間の巧みな誘導もあって、話題は別な方向――〈もしもボックス〉で実現されるゲーム世界の有り様とその改善点――へと移っていった。

……助かった。
あのまま千鳥に詰問され続けていたら、俺は口を割っていたかもしれない。

いつもポケットに入れて持ち歩きたい大切なもの、それは〈千鳥かなめ〉だということを――


 コメント:風見 流沙さま、ありがとうございました!風見さまのサイト「天空の欠片」さまはこちらです


追記を閉じる▲
スポンサーサイト

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。